2011年11月16日水曜日

【セシウム137の放出、これまでの日本政府の確認、IAEAの見積りの2倍】

チェルノブイリの2.5倍の放射性キセノンが放出。地震直後、津波以前に放出開始。

 ノルウェー、オーストリア、スペイン、アメリカから成る国際研究者チームは、2011年10月21日に発表された研究論文 [1] で、福島の超重大事故によってチェルノブイリ事故の2.5倍の希ガス・キセノン133が放出されたとの結論に達した。さらに、2011年3月11日のキセノン放出は、既に日本時間15時頃地震によって、つまり津波到達以前に始まっていたという“有力なしるし”が存在するという。科学者にとってこのことは、14時46分の地震の影響によって原子炉に“構造上の損傷”が起こったということを示唆するものだ。

 「この研究結果はしたがって、地震そのものが --- 津波によることなく--- この超重大事故をもたらしたのではないという、原子力産業界、日本政府、またドイツ原子炉安全委員会までもが行なってきた説明が誤りである可能性がある、というさらなる証拠でもあります」とIPPNW 核戦争防止国際医師会議の原子力専門家ヘンリク・パウリッツ氏は解説する。「原子力発電所が、世界的に地震の危険に大きく晒されているということを過小評価しようという原子力ロビーの試みは、この新たな研究によって決定的に頓挫したと思われます。ドイツ原子炉安全委員会や他のドイツ政府機関が、もはやほとんど根拠を持たない津波理論にひたすらこだわっているのは驚きです。これはおそらく、フィリップスブルグ原発2号機やネッカーヴェストハイム原発2号機のような地震の危険に晒されている施設が、政治的議論の標的にならないようにするためなのでしょう。」

 ノルウェー大気研究所の権限のもと、ウィーンのオーストリア気象地球力学中央研究所(ZAMG)も参加して作成されたこの福島研究は、3月11日から15日までに16,700ペタベクレルのキセノン133放出があったと算出した。執筆者によればこれは、“人類史上もっとも大規模な民間への放出”であり、チェルノブイリの約2½倍のキセノン放出量となる[2]。

 このこれまでで最大規模の調査に、研究者たちは、日本、アメリカ、ヨーロッパにおける1,000に及ぶ放射能の濃縮および析出の測定を対象とした。

 この研究によると、2011年3月と4月の放射性セシウム137放出量は36ペタベクレルに達した[2]。この量は、福島第1原発1号機から3号機、および4号機冷却プールを合わせた総量のおよそ2%に相当するに過ぎないが、結果としてこの期間の放出量は、チェルノブイリ周辺に放出されたとされる量の42%にあたり、ということは日本当局がこれまでに認め、ウィーンのIAEAが見積もった量の2倍になると、この研究者たちは考えている。気象条件(卓越風、局地的な降雨)に基づけば、このセシウム137排出量の19%が日本に降り注ぎ、79%が太平洋上に、2%が他の国々に堆積したということだ。

 この研究によれば、1号機で最初の爆発が起きた、2011年3月12日という早い段階に起こっていた強烈な放射性セシウム放出も、これまで過小評価されてきた。あろうことか2011年3月14日と15日には、東日本の広い範囲が最大級のセシウム137放出によって汚染されたという。さらに2011年3月16日から19日の間に、予期しなかったほど多量のセシウム137の排出が起こったが、これは4号機冷却プールの冷却再開とともにはっきりと減少したということだ。

 およそ3,600万の人口を持つ東京には、とりあえず不幸中の幸いだったと言えることがある。2011年3月15日に最も濃い“放射能雲”が東京上空を通り過ぎたが、雨は降らなかったのだ。しかしながら2011年3月20日から22日の間には、福島第1原発の北部から、南は大阪にかけてという、本州のより広範な地域の上空に新たな放射能雲がやってきた。強い降雨が、都合良く全セシウム137を環境中から洗い流してしまったということも考えられる。東京を含む日本の広い範囲で、見過ごせないほどのセシウム汚染が起こっていたかもしれない。

 最初の日々がどれほど緊迫していたか、菅直人前首相は先ごろ明らかにした。当時の内閣は地震発生後、東京の住民の完全避難を考慮に入れていたという。それは、東京が立入禁止区域になるかもしれないということを意味するものだった。そう思ったとき菅氏は、日本は国家として再び機能しなくなるかもしれないとの懸念を抱いたそうだ。(了)

[1]
A. Stohl, P. Seibert, G. Wotawa, D. Arnold, J. F. Burkhart, S. Eckhardt, C. Tapia, A. Vargas, T. J. Yasunari: Xenon-133 and caesium-137 releases into the atmosphere from the Fukushima Dai-ichi nuclear power plant: determination of the source term, atmosphereic dispersion, and deposition. Atoms. Chem. Phys. Discuss., 11, 28319-28394, 2011. doi: 10.5194/acpd-11-28319-2011
http://www.atmos-chem-phys-discuss.net/11/28319/2011/acpd-11-28319-2011.pdf

[2]
1ぺタ=10の15乗=1,000兆。つまり、16,700ぺタベクレル=16.7 10の18乗ベクレル=1670京ベクレル。また、36ぺタベクレル=3京6千兆ベクレル。

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