2011年11月4日金曜日

『放射線テレックス』の歴史

放射能問題情報誌『放射線テレックス』がどのような経緯で発刊されることになり、現在までどのような活動を続けてきたのか、ホームページにある歴史の項を以下にご紹介したいと思います。

☆ ☆ ☆ ☆ ☆

チェルノブイリ事故の年、1986年の12月に「ベルリン独立放射能測定所」が活動を始めました。化学者ペーター・プリーニンガー博士と原子力技術士ベルント・レーマン氏が、ベルリンのモアビート地区にある商店のショーウィンドウ内に、いわゆるガンマ線測定所を開設したのでした。放射線測定器は、ベルリンの野外音楽場ヴァルトビューネで行われたチャリティーコンサートの収益によって、ベルリンの社団法人「放射線に反対する会」が購入したものでした。

それは情報機関誌『放射線テレックス』の誕生の時でもありました。初号は1987年1月15日に、工学士で科学ジャーナリストのトーマス・デルゼー氏の編集責任のもと発行され、それ以来途切れることなく出版されています。1994年からはブレーメンの生物学士ベッティーナ・ダンハイム氏、2001年半ばからはベルリンの医学物理学者セバスチャン・プフルークバイル博士が編集に加わりました。『放射線テレックス』は1989年5月までは2週間ごと、その後は月刊で発行されています。

1986年のチェルノブイリ原発事故後はじめの数年間、『放射線テレックス』が特に行なっていたのは、食品の放射能測定値を、商品名と製造者名を明らかにした上で公開することでした。そのように名前を挙げることは、公的な測定所では現在に至るまで禁止されており、独立運営の施設は、放射線テレックスがその価値と成果を特徴として示したものを必要としていたのでした。「商品試験財団」が行なっていた商品比較テストという形をとって、はじめての体系的な測定がひと通り、牛乳と乳児用食品について行われ公開されました。それによって、不安を感じていた小さいお子さんをお持ちの親御さんたちは、チェルノブイリ事故から9ヶ月経ってはしまったけれど、はじめて具体的で明らかな情報を手にしたのです。そしてその情報によって子供たちの被曝を、状況に応じてできるだけ少なく抑えることが可能になったのです。公的な測定所に制約があることによって、独立の測定所および刊行物が必要となったのでした。大きかったのは、個人、親たちの活動、社団法人「原子力の脅威に反対する父母の会」などによる支援でした。『放射線テレックス』の定期購読者は当時3,000にまで及びました。それによって、ベルリン独立測定所の活動への継続的な資金援助が可能になりました。また科学的な諮問機関委員による支援は、今日に至るまで大きな助けになっています。

『放射線テレックス』は早い段階ですでに、被爆の最小化を中心的なテーマとする専門情報機関に発展していきました。掲載された低線量被爆の影響についての議論は、環境放射線から、マンモグラフィーなどのような医療における放射線利用の分野にまで及んでいます。放射能測定値自体への世間の関心が薄れていくのに伴い、『放射線テレックス』への関心も変化していきました。例えば、クリュメル原発やエルプマルシュにあるGKSS原子力研究所周辺における白血病の増加をめぐる論争が示しているように、本誌は、この先放射能を多用していくのか、あるいは減らしていくのかということについての議論が繰り広げられている場なのです。

1993年12月、具体的な測定結果に対する関心が衰えたため、独立放射能測定所はその役目を終えることとなり、『放射線テレックス』はその後、特にキール、ミュンヘン、ウィーンなどで活動を続ける小さなフリーの測定所や市民運動に協力していくことになったのでした。

1995年4月からは、環境や健康における電気学や電磁学の分野に重要な専門情報部門「電磁スモッグレポート」を伴っていくことになりました。このレポートは、2005年末までは物理学士ミヒャエル・カルス氏、医師のフランホ・グローテンヘルマン医学博士、物理学のペーター・ニーセン博士、地学士モニカ・バトウ氏による監修で作成されました。2006年1月からはケルンの社団法人「応用環境研究所‘促進’」の生物学士イザベル・ヴィルケ氏によって監修されています。この電磁スモッグレポートには、非電離放射線の影響についての学術的な意見論争が批判的に伴われ、記録されています。

チェルノブイリ後はじめの数年間は、小さな子供をもつ親御さんのために特に意義のある、商品比較結果の定期的な公表として機能していた『放射線テレックス』でしたが、電磁スモッグレポート付き『放射線テレックス』は今日までに次第に、放射線防御、リスク評価、リスクコミュニケーションといった分野の専門情報としての役割を求められるようになり、ジャーナリストのリサーチ、医学や物理学の分野で情報を求める研究者、そしてとりわけ、放射能問題や放射線防護について詳しく知りたいという興味を持った一般の人々がそのきっかけを得る場となったのです。

2006年4月、ドイツ環境基金はトーマス・デルゼー氏に弟19回環境ジャーナリスト賞を授与し、20年に渡る放射線テレックスおよび電磁スモッグレポートによる独立した情報活動の功績を讃えました。

0 件のコメント:

コメントを投稿